東京奇譚集

昨日買った小説を読み終えました．

東京奇譚集

特に集中して読んだわけでもなく，子供と遊んだりする合間を縫って読んだわりには早く読めました．最近の小説は読みやすくて字も大きいので読むのが楽なのか，あるいは日頃難解な技術書*1を読んでいるうちに，鍛えられてきたのかもしれません．

この本は短編集になっていて，タイトルが示すとおり，ちょっと不思議で怪しげな話が収録されています．例えば『ハナレイ・ベイ』では，ハワイのハナレイ・ベイで鮫に襲われ命を落した若者の母親が体験する，ちょっとオカルティックな物語．一見のどかそうにみえても実際は自然の脅威や犯罪と隣り合わせのハナレイ・ベイに，その母親は毎年3週間だけ滞在します．とりたてて取り乱すわけでもなく海を見ながらのんびり過ごすのですが，ある日のこと能天気な日本人の若者(サーファー)と出会い……．
まぁ，とりたててどうといった話でもないのですが，話が自然に流れていく感じがいいですね．押し付けがましくなくて，そこにあるものをありのまま書いている感じ．
それと村上春樹さんの文体って品があって良いです．一時期憧れて，意識的に真似て文章を書いていたこともありました．やれやれ，とか？

村上春樹さんがこれまで書いた小説で一番好きなのは，『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』，次が『ねじまき鳥クロニクル』かな？多重的にパラレルに進行していく形式が好きみたい．もちろん最初に出会った『風の歌をきけ』は特別です．

*1:それほど難解なものは読んでませんが，比較しての話